今日のタイトル


過剰な化粧もしない。高価な服も買わない。自分らしくない振る舞いもしない。
運動神経の悪さも、知識のなさも、神経質なわりにデリカシーに欠ける性格も
案外少女趣味なところも、鏡に映ったまま(人が指摘するまま)受け入れようと思った。
そしたら、ちょっと楽になった。
過不足なく自分を知るのは、本当に難しい。
卑屈さも、変な謙遜も、おごりも、自意識も、全部捨てた自分
というものを見ることは、もしかしたらできないことなのかもしれない。
けれど、まあ、そういうものを超越した人間なんて、ちょっと恐い。
他人の目や、自分の目に惑わされつつも、何とかすっぴんでい続けたいと思っている。
鏡に映った私から、目をそらさないでいたいと思う。
(山本文緒 かなえられない恋のために 角川文庫 Pp19〜20)
6年前、教師に言われ嫌々受けた何かの模試で
山本文緒プラナリアという小説から出題されていました。
もう衝撃だった。
こんな、こんな文章を書く人が居るのか、と高校生だった私は驚きました。
模試なんかそっちのけで、その文章を何度も読み
模試が終わったら速攻で本屋を回ってプラナリアを買いました。
ハードカバーだったのでかなり痛い出費だったけど
いい本に出会えたなぁと思っています。
女性の心情を、汚い部分も含め、ありのままにリアルに描写しているのに、文章がとてもキレイで
不思議な感覚になるそんな小説でした。
また久しぶりに読んでみたくなります。
そんな山本文緒のエッセイを最近読んでいます。


人が指摘するまま受け入れるって難しいよね。
余計な自意識とかそういうの全部無くなればいいのに。